目的を失った策略

ある儀礼に耽溺する部族社会を、目的を失った策略の犠牲になっていると述べたのはレヴィストロースだったが、そもそもインフラを提供して社会の幸福を目指すはずの、半ば公共機関でもあったはずの電力会社の無謀な意思決定によって、経験したことのない不安を経験しつつある今日の状況も、十分それに当てはまる。現在その修復にあたる作業員の活動が、これまでにないレヴェルで公共に資するものになっているという皮肉な事態...... 地上の悲惨にもかかわらず、惑星の季節は移ろい、風はいつの間にか肌に心地いい。その同じ空気の移動が、微細な汚染物質の移動にも一役かっていたとしても、惑星にとってはそれほどの意味もない。惑星は、たとえ人類の居住が不可能なほどに汚染されたとしても、何食わぬ顔で季節を刻み続ける。風は吹き、植物は形態を変えて代をつなぐ。人や動物の絶えた地表は、けれども惑星にとってみればそれほど悪いものではない。それが都合が悪いのはあくまでも人類にとってなのだが、だからこそそうならないための努力が必要なのはいうまでもない。そのための努力以外のものは、たとえどれだけ巧妙に秘密のエネルギーを抽出してみせる技巧を確立したとしても、知性とは呼ばないことにしよう。