地球の郊外

かつて自分の住む町を「宇宙の郊外」みたいだと形容したのはJ.G.バラード。蜘蛛の子を散らすように外国人が姿を消した日本は、さながら地球の郊外のようでもある。空は、どことなく広く感じられ、悲劇の余韻は、けれども不思議な明るさに包まれている。放射能の影響は感覚麻痺を引き起こし、奇妙で過剰な自然体をもたらす。人気の絶えた郊外で、でも周囲を見つめて、風に吹かれて、ときおり出会う人と心を交わす。やるべきことを、しっかりとやる、淡々と。そんな気持ちを強くさせてくれる。