セシウムの夜は明けて

海外の友人たちから、日本を離れるようにといろいろと説得される。なかには、無償で家を用意するからとか、こんな状況でなかったら飛びつきたくなるようなものもあるのだけれど、なぜかまったくその気になれないのはどうしてだろう。苗字に反して西に向かった人間もいるみたいだけど、そんな気にもなれなない。もっとも、行きたいって思う人をどうこうする気もまったくおこらないのだけれど。昨日、家に帰ると、マンションのオーナーの親戚で一階に住む悠々自適のご夫婦のいつも素敵な奥様が、ベトナム兵のようなヘルメットを被って出てきて、私怖がりだから明日から関西に行きますって。関西か、行きたい呑み屋はあるけれど、行っても数日で戻ってきたくなっちゃうだろうなって思ったけど、にっこり笑ってごまかした。水爆がとか、空気からいろいろなものがとか、かなりパニックている様子が、なんだかピンクパンサーのケイトーに似ていて、微笑ましかった。コミカルな姿が連想させたわけではないのだろうけれど、マイケル・カコヤニス監督の『魚が出てきた日』(原題:the day the fish came out)を思い出した。今度ゆっくり観よう。そういえば、この映画が下敷きになってるって、ずーっとスティーヴ・ヒレッジの“fish rising”ってアルバムを誤解してたなあ。これも今度ゆっくり聞いてみよう。今度ね、今度、……。