フト

思った。歳若い、キュレータ方面を志望する女性と、アーティストの道を歩き始めた女性と、ゆるい中華屋で飲んでいるときのことだった。違ったかもしれない。なんせボクは酔っていた。というか、ぐでんぐでんではないのだけど、口だけなんとなくよく回る日だった。どこかに移動している途中かもしれなかったし、そうではないかもしれなかった。紹興酒のロックをあおっているときかもしれなかったし、豚耳をつまんでいるときかもしれなかった。「なんかさあ、骨董屋関係から出てきたギャラリー、キライなんだよオレ」。やっかみかもしれなかったし、ただ、何となく状況に合わせた組み合わせを口にしてみただけだったかもしれない。けれども、その後妙に胸のつかえが取れたような気がするのはなぜだろう。ボクは今は酔っていない。でも永年、探してきた言葉だったような気もする。酒が入っていなくても、貸しビル業の街づくりはキライだぐらいのことはロッポンギで口にできるけどね!