相廃ビ

相模大野の廃墟手前のビル。危惧していたようなことはなくそれなりに楽しめた。関係者たちの人柄もいい感じ。

しかし、考えさせられることもあった。あの類の場所がオルタナティヴであった時代は確実に過ぎつつあり、もはやある種の定番になりつつある。かつては、その空間自体を感じさせる、一種の「間」が、ああいった場所での展示の文法だったが、実際それにはもはや意味がなくなりつつある気がした。海外では、ああしたスケール、場所、展示は珍しくないけれども、日本ではその驚異ばかりに目を奪われがち。確かにカッコいいところだけど、むしろああいった場所を利用するならば、場所自体をできの悪い展示スペース、カッコ悪いところととらえる必要があると思う。その上で、むしろ空間を台無しにするような過剰な展示を見たかった。

場所探しの時代は終わったのかもしれない。場所を見つけ、そうすることだけで表現の半分以上が達成できていると錯覚できたのは明らかに過去の出来事のように思われた。ただ一方で、あのような空間がより日常的な行為の中で利用される必要はある。あのような空間がまさに「使われる」必要はまだまだある。

というわけで、展示終了後、アトリエに戻って「使われている」時点での再訪を作家と約束。そのあと講義があったので、一杯引っかけられない身を呪いながら、西陽に眼を焼かれながら急いで大学へ↑。