ディズニーランド

昨日家に、ミッキーとスティッチがやってきた。磁石のついた彼らは、いまもかたわらでじゃれあっている。僕はディズニーランドは嫌いだ。ウォルト・ディズニー反ユダヤ主義、人種差別を嫌っているのかもしれない。ウソで固められた世界を、好きになれないのかもしれない。そんなディズニーに、一緒に行こうねと約束していた友人がいた。彼女はミッキーの部屋で働き、働くことができなくなってからも、時間を見つけてはそこに足を運んでいた。エネルギーにあふれ、やりたいことを一生懸命やっていた。そんな彼女は、僕の誕生日に逝ってしまった。僕たちの約束は宙に浮いてしまった。呆然としたまま、やらなければならないことに集中した。タイミング悪く、展覧会の開催が決まっていた。そこには、彼女と同じ年代の若い女の子たちの、怠惰や甘え、倦怠があった。きっと彼女も、かつてはその中にいたはずだ。けれども彼女は、目の前に突きつけられた厳しい現実と向き合うなかで、屹然とそこから歩み出た。いやそうせざるをえなかったのだ。けれどもそのとき、彼女を支えたのはディズニーだった。そう考えると、行くことを断る理由は見あたらなかった。そして約束した。まだまだ時間はあると思っていた。けれども、突然、彼女は去ってしまった。世界のどこにもいなくなってしまった。そして気がつくと、彼女が手にしていた、ミッキーとスティッチが部屋にきていた。一緒に行けなかったことが、本当に悔やまれる。そんな想い癒してくれるのは、いつのまにかやってきた彼らだった。……