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cidadebranca2005-02-02

もし地方から東京にやってきて、見知らぬ人が声をかけてきて、家に泊まりにこないかと誘われたら、誰もがそんな申し出は振り切って、汚かろうが安宿を探すだろうし、最悪でも野宿の路を選ぶだろう。けれども、アートの世界では事情が異なる。誰もが、泊めてもらいたくてうずうずしていて、なんならその人の趣味に合わせたプレイだって厭わない。コマーシャル・ギャラリーとの契約でまず第一にアーティストにとってプラスになるのは、展覧会に際してスペースのお金を払わなくてすむことだろう。もちろんそれは大きなメリットだが、たったそれだけのために、そうした路を洗濯するというのはどうも釈然としない。マーケットが未成熟で、限られたコレクターを奪い合っている状況では、それ以上の見返りはあまり期待できない。スペースにお金を払って展示をすることに対するアレルギーは、表現者の社会人としての未熟さの裏返しでもあるように思える。もちろん、アーティストを顧客として想定する商売をよしという気はないが、一方でアティーストもまた、宿代のために商売に加担していくことになるとすれば悲惨としか言いようがない。