夜中にそっと
ダニエル・ブラウフックスの写真集を開いてみる
ボウルズの痕跡がそこここにある
もう一冊の写真集には
ペソアの気配が漂っている
・
今夜、友人のMと密かに分かれた
Mはしばらく遠くに行ってしまう
でも、再び会うのだ 必ず会うのだ
・
陽が落ちてすぐの薄暗がりの中で
Sの余命を知る
Sが僕でもおかしくなかった
Sと階段の脇で語り合ったことを思い出した
・
今年はTも失ったのだ
Tがいたから書き始められたのだ
Tに送り続けてきた本は、宙に浮いてしまった
・
そういえば今年リスボンで
10年以上のつきあいになる
無愛想で、けれども深く優しいAが姿を消していた
Aはもうリタイアしたの
Fの語る言葉は寂しげだった