失われたピルゼン

ピルゼンにはよく行った。本当に、よく行ったと思う。ビールは本当においしかった。ライオンもいいけど、どうもメジャー過ぎて、ピルゼンの方が、何かしっくりとした。でも、ザワークラウトボルシチも、そんなに食べものには想いはなかったように思う。ただ、その雰囲気は本当に好きだったし、食べものにしても、ただ口がお子ちゃまだけだったような気もする。ピルゼンの閉店は、誰かからなんとなく聞いたような気がする。何か、失われて初めて、その価値がわかったような気がする。初夏、まだ陽の残る時刻に、空いている店内で飲むビールも、固い木製の椅子を、無理言って詰めてもらいながら、煙草の煙にまかれながら騒然とした店内で呑むのもまたよかった。もう一度、復活しないかな...。