罪深い夜

わたしは、予期せぬお金を手にした。それに見合う労働はしていたのだが、それを手にできるとは思ってもいなかった。7枚の1,000円札がわたしの手に握られた。これほど、価値のあるお金を今後手にすることはあるのだろうか。雨降り止まぬなか、わたしはそれを手に酒場に向かう。いつもは多くの人でごった返すそこは、若い友人たちだけで、そんな彼女たちと杯を重ねた。夜も深くなって、わたしは車を回すようにドライバーに電話をした。ドライバーとわたしは、たわいもない話をしながら、ハイブリッドなエコカーで東名を流し、多摩川沿いの小さな店まで辿りつき、鮎味のラーメンを食べた。わたしはドライバーに家まで送り届けられ、そして深い眠りに落ちた。さわやかな朝が始まる。ドライバーが友人だったというあたりまえの事実が深く胸を抉る以外は、すべてがさわやかな朝が始まる……。