美術館の建築……

としては、めずらしく評判のいい、金沢。でも、妹島和世や彼女が師事した伊藤豊雄の作品って、新築時はいいけど、経時疲労に対してきわめて無策な感じがする。ちょっとしたガラスのくもりや、壁面のくすみが、大きく魅力を後退させる。結局、竣工時を作品のピークとして設定しているからなのか、けれどもだとすれば、作家としてはずいぶん旧弊な考え方に則っていることになる。

愛知万博に行きたいという友人からパンフレットを見せてもらった。こうした催事って、コンセプトよりも、そこを表現の場としようとする人々の欲望しか見えてこないのはなぜだろうか。産官学などの名の下に、厚顔な人々の笑顔が見えてくる。ああ、本当にいやだ。

Sが語る。延々と語る。なるほど、なるほど、そう考えているのか。と思った矢先、そういう考えを持っている人もいなくはないかもしれないというようなスゴイ逃げ技をうった。Sを見ていると、主体とか記名とかを真摯に問題にしている西洋の思想って鈍重で空しいと思えてくる。S、カンパイ!