10年ぐらい前・・・

パリのカールトン・パレス・ホテルの763号室を使った展覧会があった。キュレータはハンス・ウルリッヒ・オブリスト。現在のように、わけのわからない方向に行っていないときのハンスのキュレーションは、なかなかキュートだった。ピストレットやリヒター、ウィーナーなど48人の小品が狭い部屋のいたるところに配されていて、部屋に入るとヌボーっというかんじてハンスが立っていて、ひとつひとつ作品を紹介してくれるというもの。とてもよかったなあ。ホテルのレセプションの人は、そんなことやってるのさえ知らないかのようで、ゲリラっぽさもよかった。その763号室に、なんだかラジオのような音楽が流れていた。気にもとめなかったのだけど、ハンスはフィッシェリ&ヴァイスの作品だという。どう聞いてもラジオなんだけど。訊ねてみると、パリの展覧会のプランを受けてから、スイスにいる彼らが、フランスのラジオ局を録音したものだとか。なんだか、緩いけど、鋭いなあ。彼らのこうした部分って、写真の世界でvisible worldだけを見てる人に伝わっているのかなあ。と思っていたら、今年になって、ウォルター・ケーニッヒから、そのときの音源がリリースされた。30分ぐらいで、エディション150、サイン入り。つい注文したら手に入っちゃった。F&Wの作品をもつ身になるなんて。まあ、音はフランスのラジオだけどね。